毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

月別アーカイブ: 4月 2016

在宅医療の分野は、ただでさえ複雑な診療報酬体系が一層複雑になった感がします。

患者や家族(患家)からの要請により行う「往診」と異なり、医師が計画的に家庭や施設に赴くのが「訪問診療」です。

この定期的に訪問を行い、24時間連絡がつく体制をとるのが、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所です。

診療所についていうと、在宅療養支援診療所は、強化型在宅療養支援診療所(単独型)、強化型在宅療養支援診療所(連携型)、強化型以外の在宅療養支援診療所にわかれ、これ以外に、在宅療養支援診療ではない診療所があり、それぞれ診療報酬に差があります。

さらに、一戸建ての家なら問題はないのですが、ケアハウスなどの施設や、有料老人ホーム、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)、マンションや団地などで、訪問診療を行った時の報酬が、在宅患者訪問診療料(同一建物居住者)と、在宅訪問診療料(同一建物居住者以外)でわかれます。

月に1回と、2回以上で在宅時医学総合管理料の額が異なり、さらに、単一建物診療患者数が1人、2~9人、10人以上で細かく分かれています。

そのため、自己負担額も大きく異なり、大変わかりにくくなっているのが実態です。

熊本県で発生した地震は、想像を超える大規模災害になっています。私は、日本医療福祉生協連の会長として、東久保専務理事と連名で、4月15日付で、「熊本県で発生した地震による被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます」という談話を出しました。

このたびの地震による被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

医療福祉生協連は、地域購買生協あるいは近隣の会員生協、友好団体の医療施設、行政等と連携し、被災された皆様の健康保持とくらしの復旧に向け、支援する活動を進めて参ります。

昨年4月にネパールで起きた大地震で、カトマンズをはじめとしてネパール国には大変な被害を受けました。医療福祉生協連は、フェクト・ネパールに対する支援を行いました。
その詳細は下記のHPを参照ください。

http://www.t-heiwa.com/hiraihou/?m=201511

いつもお世話になっている、スーマンさんからも、激励のメールが届いています。
大要を紹介します。

熊本の大地震のニュースを聞いて大変ショックをうけました。

ネパールでの去年のほぼ同じ時期の大地震が思い出されました。

これ以上被害が出ないようそして被害者の皆様が一日も早く助かるように心から祈っております!

皆様ご無事であることを祈っております。

香川医療生協は支援の目的でカンパ活動を行っています。もよりの事業所までお寄せください。

4月から診療報酬が改定されました。

昨年の12月21日に厚労相と財務相の協議により、診療報酬の改定率をマイナス1.44%としました。

細かく言うと、

・診療報酬本体は0.49%の増

・薬価と材料費は1.33%の減

それ以外に「外枠」として

・市場拡大再算定制度(注1)によるものが0.19%減、

・特例市場拡大再算定(注2)によるものが0.28%減

・その他の引き下げとして、

上記以外の薬価引き下げが0.02%減

大型門前薬局の「適正化」が0.04%減

入院患者の経腸栄養剤の「適正化」が0.04%減

湿布薬の枚数制限などで0.03%減

これらの引き下げ分を合わせると約2,000億円になりますから、これらを財源とした本体部分の引き上げは十分可能です。再改定を行い、診療報酬の本体部分の引き上げを強く求めるものです。

 

注1:予想以上に売り上げが伸び年間売り上げが150億円を超すものの薬価を引き下げる制度。前回までは薬価引き下げと計算されていました。

注2:予想の1.5倍以上に売り上げが伸び、年間売り上げが1000億円を超えるものの薬価を引き下げる制度で、今回から新たに導入されました。

今回改定で、「湿布薬」の処方枚数に制限が課せられました。

貼り薬すべてではなく、鎮痛・消炎を目的とするいわゆる「シップ」が対象で、麻薬、降圧効果や気管支拡張効果を持つもの、認知症の治療に用いるものなどは対象ではありません。

1回の処方につき、各種湿布を合わせて70枚までとなりました。70枚を超える場合はその理由(医学的根拠)の記載が必要です。1回の処方が何日分に当たるかも記載が必要になります。前回述べたように、処方日数の制限がなくなったため、(理論的には)何枚処方してもよかったのですが、それなりの理由が必要となりました。

院外処方の場合、処方箋やレセプト(診療報酬明細書)に記載が必要ですから、面倒になりましたが、明確な医学的根拠・理由があればよい、とうことになります。

ただ、気になるのは、1カ月当たりの処方枚数に制限はないが、審査で査定される可能性は厚労省も認めているところで、結局処方制限になったことには違いはありません。

 

(この項続く)

訪問診療や往診を行い患家に行き最初にやることは、大病院で処方された大量の「残薬」の処理です。調剤薬局にも手伝ってもらって、新たに処方すべき薬、残った薬で今後も使用するものに仕分けをしていきます。

最近では、大病院では10週分(70日分)、12週分(84日分)といった長期投薬が行われます。明らかに服薬がちゃんとできていないにも関わらず、患者・家族もそのことを医師に告げず、医師や調剤薬局もきちんと確認することなく、フリーパスで大量の薬剤が処方されます。今回改定の議論の中で、この残薬問題が取り上げられました。

厚労省の数字が正確かどうかは別にして、我々がやっているような「残薬対策」は資料には出てきませんから、「**億円の医療費の無駄」といった報道は一部のデータからの類推にすぎませんが、大量に残薬が発生していることは間違いありません。

今回の改定で、投薬日数が原則30日とされました。

もともと、2001年度までは内服薬・外用薬の投与期間は原則14日とし、高血圧に対する降圧剤など、特定の疾患・医薬品に限り30日分の長期投与が認められていました(一部例外がありましたが)。

慢性疾患の増加等に伴い、2002年度の診療報酬改定の際に、発売1年以内(当初は2年以内)の新薬や、麻薬や向精神薬などの一部の薬剤を除き、投与日数の制限が撤廃されました。30日の制限から無期限(薬剤の使用期限がありますが)に拡大したのも無茶な話ですが、大量の残薬が発生する事態の一因となったといえます。

今回、30日を超す投薬の場合、「医師の確認」が必要になりました。30日が限度だと、月の1日に30日分処方すると、「大の月」には月に2回来ないといけないという矛盾がありますが、医師の安全確認義務が課せられたといえます。

(この項続く)

2016年4月からの診療報酬改定に際して、香川県保険医協会主催の「医科新点数検討会」が、宇多津町内(65名参加)と高松市内(130名参加)で開催されました。参加人数は2014年度検討会並みでした。

講師は、西山副理事長と私、蓮井理事、田中理事で担当しました。会の最後に採択された決議を紹介します。

決 議

2016 年診療報酬改定は、改定率が厚労省発表数値では▲1.31%、「外枠」を含めると実質▲1.43%とされた。前回の実質▲1.26%を上回るマイナス改定である。財務省が主張していた薬価等の引き下げ分を本体財源と分離するという考えが前回に続いて今回も踏襲されたことは大変問題であり、改定財源に含めるよう強く求める。また中医協において十分な影響調査もしないまま、紹介なし大病院の定額負担の導入、湿布薬の給付制限、入院時食事療養の流動食の場合の評価引下げ等を「政策改定」として「外枠」で引下げる手法は、本来あってはならない。

政府・厚労省は、「骨太の方針2015」に基づく「社会保障制度改革推進」を梃子に、社会保障費全体の自然増について毎年5,000 億円を目安にして、それ以上の伸びを抑制するための削減先を診療報酬に求めた。それにより改定予算は圧縮されるとともに、急性期病床の削減と退院促進関連の要件強化により、主に入院患者を在宅、外来に流す仕組みの整備と、その受け皿となるかかりつけ機能への誘導に使われた。これは安上がりの医療を強いる政府の「地域包括ケア」体制構築への、露骨な政策改定である。

すべて国民は健康で文化的な最低限の生活が保障されるとした憲法における生存権の理念のもと、必要で十分な医療の提供が保障されるべきであり、そのために必要な社会保障費の確保、充実は国の責務である。これに反する改革や診療報酬改定は、憲法における「社会保障の向上増進義務」に照らしても大変問題である。

「医療崩壊」からの脱却と地域医療再生に最も必要なのは、初・再診料をはじめ基礎的技術料の評価を中心とした診療報酬の大幅な引き上げである。保団連は、次回改定を待たず早急に再改定するよう強く要望する。

また政府は、消費税増税や大企業の法人税引き下げを強行する一方で、患者・国民に対しては社会保障給付の削減やさらなる費用負担の押しつけ等を狙っている。国民を欺き、国民皆保険制度の空洞化をもたらす医療費抑制策に断固反対する。

一、初・再診料をはじめ基礎的技術料の評価を中心とした診療報酬の大幅な引き上げを行うこと
一、医療、介護など社会保障費の抑制、削減をやめ、患者・利用者、国民の負担を軽減すること

以上決議する。

2016年3月27日

香川県保険医協会 医科新点数検討会 参加者一同