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 地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年1月15日号(第1728号)に掲載した、医療事故調査制度に関する内容を再掲します。

15年10月より、「医療事故調査制度」が始まりました。この制度は、14年6月に成立した、医療法の改正に盛り込まれた制度です。

厚労省によれば、「医療事故が発生した医療機関において院内調査を行い、その調査報告を民間の第三者機関(医療事故調査・支援センター)が収集・分析することで再発防止につなげるための医療事故に係る調査の仕組み」とされます。

第三者機関である「日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)」が1月8日に発足後3ヶ月間の現況報告を行いました。

それによると、医療事故報告受付件数は、10月19件、11月26件、12月36件で累計81件でした。相談件数はそれぞれ250件、160件、187件で累計597件です。院内調査結果報告は10月なし、11月1件、12月6件で累計7件です。

制度が始まったばかりで、医療機関も様子見をしているのが実情だと思いますから、この数字が多いか少ないかについては、何とも言えないと思います。

しかし、実際に報告義務となるのは「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、予期しなかったもの」ですから、死亡例以外は対象となっていません。また、遺族への説明や診療録への記載が適切に行われた場合も、報告対象となりません。

一方、制度発足後も個別事案の紛争解決、つまり責任追及のために本制度を利用しようとする動きがあるといわれています。

もともと、この制度は、死亡例に限らず、医療行為に伴う予期しない事態が発生した時に、原因究明や再発防止を目的とする制度として検討されたものです。医療従事者側の法的責任追及とは別に考える必要があります。

医療事故調査を行う第三者機関の創設を訴えてきた市民団体「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」(患医連)の永井裕之代表らは10月2日、医療事故調査制度に関して被害者・遺族らの相談窓口を設置すると発表しました。

永井代表によれば、「制度が国民から信頼される制度になるかどうかは、医療界・医療者が真摯に調査にとりくむかどうかにかかっているが、まだ多くの課題が残されている」と指摘しています。

国会での議論が不十分なまま成立した制度ですから、問題点は多いのですが、制度ができた以上、国民・患者の視点でよりよい制度に変えていく必要があると思います。今後の動きに注目する必要があります。