
差額ベッド料とらない病院があったのね!!
※「以下「民医連新聞」2001年2月21日の記事から引用
民医連NSの投書きっかけに……
『差額科なし』やれます/『民医連』加盟病院の例」
奈良のある職員の投書がきっかけで、民医連が全国紙(1/31『朝日』)で「差額ベッド料を徴収していない医療機関のグループ」として紹介されました。 「こういったことはどんどんすすめてほしい」「妻が長く病んでいる。近くの民医連の病院にかかりたい」全日本民医連へも問い合わせがあいつぎ、反響が広がっています。
-朝日新聞にFAXした手紙-

きっかけとなった投稿をした片桐民主病院(奈良)の看護婦・平川加代子さんは、昨年12月の『朝日』紙に掲載された差額ベッド料問題の記事に目をとめました。「差額の負担に困っている人たちのこと、またそれが現在の医療界では避けられないことであるように書かれていたことに、黙っていられなくなって」といいます。上のような手紙をファックスしたところ「そんな医療機関があるのを知らなかった。話を聞かせてほしい」という記者からの取材が。
それが今回、思いのほか大きく取り上げられたことに驚きつつ、「これが民医連の活動を少しでも多くの人に知らせる機会になったのなら良かった」。全日本民医連には当日朝から問い合わせの電話があいついで寄せられました。
実母介護で毎週【東京-新潟】往復
それでも差額ベッド料より安い
東京在住のAさん(60代女性)は「差額料をとらない最寄りの病院があれば、教えてほしい」と問い合わせてきました。新潟県にひとり住んでいた90歳の実母が入院。現在Aさんが新潟に毎週通っています。「新潟に移住したくても、できない、東京から離れられないんです」。68歳の夫が十数年来の難病のため、都内の大学病院で治療しています。逆に母親を連れて来るには差額ベッド料の問題がでてきます。「(お金の面で)安心して入れる病院がみつからない」。子どものいないAさんの肩にかかってきた夫と実母の世話。「いくらがんばろうと思っても、体がガタガタ。 この生活がいつまでつつづけられるか、自信がなくなってきて。新聞でこんな親切な病院があると知れて、少し安心できました。また、話を聞いてね、ありがとう」。
いま、全国にある病床の13%にあたる22万床が差額ベッド、差額料の平均は1日につき約5000円 (99年7月厚生省調査)。 Aさんの場合も単純に計算して、1ヶ月の差額料15万円を払うより、毎週「新潟〜東京」間を往復する交通費の方が出費を押さえられる、ということ。あらためて患者につきつけられている厳しい現実を思い知らされます。
厚生労働省は保険医療の縮小をすすめる一方で、1984年の「特定療養費制度」 を発足、差額室料の基準を拡大させてきました。差額徴収の対象を個室と2人部屋に限っていたものを4人部屋に、4人部屋での徴収を病床の2割としていたものを5割にまで緩和。全国公私病院連盟と日本病院会の共同調査で、一般病院の収益に占める差額室料が約2%(99年)という結果も。差額室料に収益を頼る構造がつくられてきています。
また昨年末、徴収基準が明確でないことなどを指摘する世論におされる形で厚生労働省は「患者の署名人りの同意書での確認がない場合や」術後などで安静な必要な場合」など、差額を徴収できないケースを示す通知を出しましたが、差額徴収そのものを否定するものではありません。
全日本民医連は、創立以来、差額徴収に反対する立場ですが、「特定療養費制度の一つとして法的根拠を与えられたことであらためて論議し、「室料差額反対、白山診療の拡大に反対し、保険適用を要求する私たちの運動と医療実践は、 国民の共感と信頼の一つのシンボルとなっており、この立場は堅持すべきもの」(第30回総会方針)と基本的な立場を再度確認しています。
民医連のベッドをなくしたくないが……
平川さんのいる片桐民主病院にも反響が。「記事をみた」という声や、他県で入院する家族を抱えた人からの問い合わせもあります。しかし、その片桐民主病院(29床)ではいま、無休診療所化議論が行われています。経費節減や、業務拡大などあらゆる手段で経営改善の努力をしてきましたが、赤字経営が続いています。「地域住民の要求と運動で設立された病院が病院でなくなり、大和郡山市から民医連のベッドを無くすことになれば、非常に残念。病床削減誘導をはじめとした低医療費政策に強い憤りを感じます」と平川さん。

私は医療法人経営の小規模病院に勤務する看護婦(管理婦長)です。私たちの所属する病院グループは全国どこも差額ベッド料を徴収していないのが大きな特徴です。病気の苦痛の上に、医療費だけでも支払いの心配をしなくてはならない患者様にとって、負担はできるだけ少なくしなければなりません。終末期の患者様には、ご家族とのコミュニケーションの時間を大切にするため、最後まで2人部屋を1人の方に提供することもしばしばあります。もちろん、室料は無料です。医療は、お金のあるなしに左右されるのでなく、いつでも、どこでも適切に受ける権利が誰にも平等にあるべきだと考えています。
しかし、ある病院の経験では、差額を支払っている人と、支払っていない人が同時に緊急事態が発生すれば、支払っている人を優先せざるをえないと言われます。まさにお金で命が左右されてしまうのです。
私たちの病院グループの多くは常に経営の危機にさらされています。私の勤務する病院も存続そのものが危ぶばれています。職員の中からもこんなに経営が苦しいのだから、差額を徴収すれば良いのに…」という声も出ているほどです。しかし、弱い立場である病人からの負担で経営を守るのでなく、診療報酬をまともに評価されるように政府に考えてもらえるように、現状を知らせていくことが正しい方法だと考えています。12月14日付の貴紙では、全ての病院が差額ベッド料を徴収しているように読み取れましたが、地道に患者様のことを考えている医療機関があることもわかって頂きたいと思います。
片桐民主病院 平川加代子