緩和ケア病棟で使う薬について

緩和ケア病棟では多種多様な薬剤を使用します。

ただ、がんという病気そのものを治すための抗癌剤や延命のための強心剤などは使用しません。

薬剤を使用する主な目的は患者様の苦痛を最小限にし、症状緩和を図り、その人らしく過ごせるようにすることです。痛みがあれば痛み止め、吐き気があれば吐き気止めなど症状に合わせて、時に予防的にも使用します。

鎮痛剤は緩和ケア病棟では日常的に使用されることが多い薬剤です。痛みの程度や種類によって一般的な消炎鎮痛薬、医療用麻薬、鎮痛補助薬などから適切な薬剤を使用します。医療用麻薬というと「麻薬」というイメージから敬遠される方もいますが、主治医の指示のもと、適切に使用すれば安全で効果の高い薬剤です。

また、痛みや息苦しさ、食欲不振、全身倦怠感などに対しステロイドを使用することもあります。

薬剤に対しいろいろな思いをお持ちの方がおり、中には「薬に頼りたくない。」という方もいます。薬の作用だけにとらわれず患者様の思いも尊重しながら、どのような薬を使うか相談して決めていきます。

薬剤の種類だけでなく形状も考慮しています。内服薬を飲むのが難しくなってきた時は座薬や貼付剤、注射薬など患者様と相談して負担が少ない薬剤を 使用できるよう調整しています。

薬剤を使用開始する時や中止する時は、患者様の希望も大きな理由となります。意見や疑問、不安なことなどありましたら遠慮なく声をかけお伝えください。